親の遺産は本当に「自分のもの」？他人に奪われたケースから学ぶ相続の落とし穴とは？

2025年3月15日 2025年3月15日

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■親の遺産は本当に「自分のもの」？他人に奪われたケースから学ぶ相続の落とし穴

🔹親の財産は当然自分のもの…そう思っていませんか？
「親の遺産は自分が受け取るのが当然」

そう考えている人は多いかもしれません。
しかし、実際には想定外の相続トラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。

例えば、親の身の回りの世話をしていたホームヘルパーやハウスキーパー等の関係者に、財産の大部分を譲るという遺言書が残されていたらどうでしょうか？

今回は、親の遺産の大半を他人に譲られてしまったというケースをもとに、
「どうすればこのようなトラブルを防げるのか？」を下記の順に解説していきます。

１．衝撃の遺言書：「財産のすべてを〇〇に譲る」
２．なぜ他人に財産を譲る遺言書が作成されたのか？
３．相続人でも全額相続できない？遺留分とは？
４．「1,000万円すぐに払えない」…支払い方法で再び揉める
５．このようなトラブルを防ぐには？
６．まとめ：「親の財産は当然自分のもの」と思い込まない

１．衝撃の遺言書：「財産のすべてを〇〇に譲る」

長年病気を患っていた父親が亡くなった後、相続手続きを進めていた翔太（しょうた・仮称）さん。
遺品整理をしていたところ、一通の遺言書が見つかりました。

📜 遺言書の内容：「私の財産のすべてを〇〇に譲る」

〇〇とは、父親の日常生活を長年サポートしていた関係者です。

「どうして自分じゃなくて…？」

翔太さんは驚き、言葉を失いました。

父親の遺産は総額2,000万円ほど。母親はすでに他界しており、兄弟もいないため、当然全額自分が相続するものだと思っていました。

しかし、遺言書の存在によって、その前提は完全に覆されました。

２．なぜ他人に財産を譲る遺言書が作成されたのか？

このようなケースは決して珍しくありません。
特に、親が高齢で介護が必要な状態になったとき、次のような状況が生まれがちです。

✅ 子どもがほとんど介護に関わらず、関係者が身の回りの世話をしていた
✅ 親が認知機能の低下などにより、身近な人の影響を受けやすかった
✅ 長年親身にサポートしてくれた人に感謝の気持ちを持っていた

遺言書は本人の自由意思で作成できるため、仮に法定相続人がいたとしても、
「すべての財産を関係者に渡す」と記されていれば、その内容が優先されます。

つまり、生前の関係性によっては、親の財産がまったくの他人に渡ってしまうこともあり得るのです。

３．相続人でも全額相続できない？遺留分とは？

「これは納得できない！」と感じた翔太さん。

しかし、遺言書がある以上、基本的にはその内容が優先されます。

ただし、法律上一定の財産を請求できる権利が相続人には保証されています。

💡 それが『遺留分』です。

🔸遺留分とは？
法定相続人（配偶者・子ども・親）は、最低限の取り分を確保できる権利があります。

今回のケースでは、父の財産が 2,000万円なので、
翔太さんは遺留分として1,000万円を請求可能です。

しかし、ここで新たな問題が発生しました。

４．「1,000万円すぐに払えない」…支払い方法で再び揉める

遺留分を主張し、1,000万円の支払いを要求した翔太さん。

しかし、関係者は「そんな大金、すぐに用意できるわけがない」と主張。

そして、意外な提案をしてきました。

「分割払いにしてもらえませんか？」

この言葉に、翔太さんは開いた口がふさがらない。

遺留分の支払いは基本的に金銭で行うのが原則ですが、一括で支払えない場合、
分割払いを求められることもあるのです。

結果的に、翔太さんは数年かけて1,000万円を受け取ることになりました。

本来なら 2,000万円全額を相続できたはずの翔太さん。
しかし、結果として相続財産の半分しか受け取れず、しかも分割払いという形になってしまったのです。

５．このようなトラブルを防ぐには？

「こんなこと、自分には関係ない」と思っていませんか？
しかし、相続の現場では同じようなケースが決して珍しくないのです。

では、どうすればこのようなトラブルを防げるのでしょうか？

🔸トラブルを防ぐ3つのポイント
✅ 親と定期的に会い、意思を確認する
➡ 親がどのように財産を分けようと考えているのか、早めに確認することが重要。

✅生前に「遺言書」を作成してもらう
➡ 第三者の不当な関与や無効リスクを防ぐため、公正証書遺言が最も信頼性が高い。 公証人が作成し、公証役場に保管されるため、偽造や紛失の心配がなく、法的に確実な遺言を残せる。 相続トラブルを避けるためにも、専門家と相談の上で作成を検討しましょう。

✅ 相続対策として信託や生前贈与を検討する
➡ 早めに財産の一部を受け取ることで、トラブルを未然に防ぐ。