終活ブームに潜むワナ!“おひとりさま”こそ必読!死後事務委任契約を結ぶ前に知るべきこととは?
■はじめに:「おひとりさま時代」に考えるべき“自分の死後”のこと

2025年には、日本の総人口のうち「6人に1人が1人暮らし」になると言われています(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。人生100年時代を迎え、家族がいても子どもの独立や配偶者との死別を経て、多くの人が「おひとりさま」になる可能性を秘めています。
そんな時代背景のなか、「死後事務委任契約」への注目が高まっています。自分が亡くなった後の事務手続きを誰かに託すこの契約は、確かに心強いものです。しかし、実はこの契約には見落としがちな落とし穴も存在します。
今回のブログでは、死後事務委任契約の基礎知識はもちろん、「何を備え、何に注意すべきか?」について専門家の視点でわかりやすく解説していきます。
1. 死後事務委任契約とは?:”自分の死後に生きる契約”

死後事務委任契約の役割
死後事務委任契約は、自分が亡くなった後に必要となる事務手続きを生前に信頼できる人や専門機関に委任する契約です。具体的には、次のような事務を託すことができます。
・葬儀の手配(火葬や納骨含む)
・役所の手続き(死亡届の提出など)
・相続財産の整理
・医療費や公共料金の精算
通常の委任契約は本人の死亡と同時に終了しますが、死後事務委任契約は「亡くなった後」に効力が発生する点が大きな特徴です。
2.死後事務委任契約の落とし穴:「これだけ」で安心はできない理由

「死後事務委任契約さえ結んでおけば大丈夫」と思っていませんか? 実はここに大きな落とし穴があります。次のようなリスクを知らずに契約してしまうと、せっかくの備えが無駄になってしまうかもしれません。
①受任者が亡くなったことを知らない問題
死後事務委任契約は、受任者(契約を引き受けた人や機関)が依頼者の死を知ることがスタートラインです。しかし、ここに大きな問題があります。
受任者が依頼者の死を知る方法は、次の2つしかありません。
家族や親族が受任者へ連絡する
生前から依頼者をサポートしている関係者が知らせる
もし家族が遠方に住んでいる、あるいは家族がいない場合、受任者に正しく連絡が届かない可能性があります。また、年に1回の年賀状のやりとりだけではタイムリーに亡くなったことを知るのは難しいでしょう。
結果として…
葬儀が間に合わない
納骨や役所の手続きが滞る
相続財産の整理が放置される
という事態も起こり得るのです。
②生前サポートなしの契約はリスク大
死後事務をスムーズに行うためには、生前からのサポートが欠かせません。
生前サポートの例
見守りサービス(一人暮らしの安否確認)
認知症になった場合の後見契約
日常生活のサポート(買い物、通院の付き添いなど)
死後事務は「亡くなった後」に行われるものですが、亡くなるまでの生活サポートこそが最も重要です。この両方をセットで考えることで、はじめて本当の安心が得られるのです。
3.費用と預託金管理のリスク

①預託金の相場は100万円以上
死後事務委任契約には、100万円以上の預託金を求められることが一般的です。これは葬儀費用や納骨費用、事務手続きの代行料などを含めた金額です。
しかし、ここにも注意点があります。
・地域や希望する葬儀の形式によって費用は変動
・受任者が預託金を管理し、適正に使ってくれるか確認が必要
②預託金の管理方法も重要なチェックポイント
預託金は、亡くなるまで何十年も保管される可能性があります。その間、受任会社が倒産するリスクもゼロではありません。
確認すべきポイント
・預託金はどのように管理されるのか?(信託口座か、一般口座か)
・生命保険の第三者受取を利用できるか?
・預託金が適正に運用されているか定期的に確認できるか?
4.信頼できる死後事務委任契約の選び方

失敗しないためには、信頼性と実績のある受任者を選ぶことが必須です。次のポイントをしっかり確認しましょう。
・会社や受任者の歴史と実績は十分か?
・費用は適正か?(極端に安価、または高額すぎる契約は要注意)
・生前サポートとセットになっているか?
・緊急時の連絡体制は万全か?
・預託金の管理方法が明確か?(信託口座の利用など)
5.まとめ:「死後事務委任契約」だけで安心しない!

「とりあえず死後事務委任契約を結んだから安心」という考えは、とても危険です。スムーズに事務が進まないことで、残された家族や関係者に大きな負担をかける可能性もあります。
本当の安心を得るためには、次の3つが欠かせません。
・生前サポートと死後事務委任契約をセットで考える
・信頼できる受任者・専門機関を選ぶ
・預託金の管理方法をしっかり確認する
あなたの未来を安心にするために、今できる準備を
「まだ先のことだから…」と思っていても、突然の事態は誰にでも訪れます。自分の意思を尊重し、周囲に迷惑をかけないためにも、早めの準備を始めることが何よりの安心です。

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