「遺言書の作成方法とデジタル化の最新動向|自筆証書遺言?公正証書遺言?メリットと将来の選択肢を解説!」
遺言書の作成方法と今後のデジタル化の展望

■はじめに
遺言書の重要性と作成方法の選択肢

遺言書は、自分の大切な財産を次世代に確実に引き継ぐための重要な書類です。遺言書を作成することで、自分の意思を法的に明確にし、後々の家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
遺言書の形式には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。専門家に相談する場合、ほとんどのケースで、公証役場での保管が可能で、形式面での不備が少ない「公正証書遺言」が勧められることが多いようです。確かに、自分の財産を確実に受け取ってほしい人に譲りたいと考える場合、公正証書遺言は有効な手段といえます。しかし、公正証書遺言には費用や手間もかかるため、どちらの方法が適しているかを理解することが大切です。以下順番に見ていきます。
1.自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
2.自筆証書遺言の保管制度とその利便性
3.デジタル遺言制度の導入に向けた法改正の動き
4.デジタル遺言の検討事項
5.デジタル遺言の保管方法と課題
6.まとめ
1.自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
まずは、自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットを比較してみましょう。
・公正証書遺言のメリット
信頼性が高い:公証人が関与するため、法的な有効性が確保されやすく、形式不備による無効リスクが少ない。
保管の安心感:公証役場で保管されるため、遺言者の死後も紛失の心配がない。
相続手続きの簡素化:家庭裁判所での検認手続きが不要なため、相続人の負担が軽減される。
・公正証書遺言のデメリット
費用が発生:遺言の対象となる財産の額に応じて手数料が発生します。少額の場合は数千円ですが、場合によっては20万円以上になることも。
手間と負担:事前に公証役場と相談し、日程を調整して作成する必要があるため、ある程度の手間がかかります。
・自筆証書遺言のメリット
手軽で費用がかからない:自身で書くだけなので費用はかからず、手軽に作成できる。
・自筆証書遺言のデメリット
形式不備のリスク:書き方に決まりがあり、形式の不備で無効になるリスクが高い。
家庭裁判所での検認手続きが必要:相続人が遺言の内容を確認するため、手間と時間がかかります。
2.自筆証書遺言の保管制度とその利便性
2020年に開始された「自筆証書遺言書保管制度」により、財産目録部分についてはパソコンで作成することが可能になり、手書きの負担が軽減されました。また、目録には不動産の登記事項証明書や通帳のコピー等も添付でき、記載内容をより明確にすることができます。
この保管制度を利用すると、家庭裁判所での検認手続きが不要になるため、相続人にとっても負担が軽減されます。しかしながら、遺言書の本文部分は直筆で作成しなければならないため、完全なデジタル化とはいきません。ペーパーレス化が進む現代において、遺言書の作成方法も時代に即した変革が求められています。
3.デジタル遺言制度の導入に向けた法改正の動き
このような背景を受け、令和5年4月には法務省が「デジタル遺言制度」の導入に向けた法制審議会を立ち上げ、法改正の検討を開始しました。この制度では、単に遺言書をパソコンで作成するかどうかだけでなく、録音や録画といった映像を用いる方法も検討対象とされています。
今後は、自分の意思を映像や音声で残すといった新しい形の遺言が認められる可能性もあり、従来の紙ベースとは異なる方法が増えていくかもしれません。
4.デジタル遺言の検討事項
遺言書のデジタル化には、従来の自筆証書遺言や公正証書遺言とは異なる課題も生じます。たとえば、デジタルデータの遺言書の場合、本人が実際に作成したことを確認する手段や、偽造防止対策が必要です。筆跡が証拠として使用できないデジタルデータでは、本人確認の方法や遺言能力の確認が重要になります。
5.デジタル遺言の保管方法と課題
遺言書は相続人が適切に発見しなければ意味を持ちません。従来の自筆証書遺言も紛失や見つけられないリスクがありましたが、デジタル遺言にはさらに発見しづらいという問題も考えられます。保管の際にパスワードが必要であった場合、その情報も相続人に伝わらなければ、アクセス自体が困難になる可能性があります。
法制審議会では、デジタル遺言の保管制度の確立も検討されています。本人確認の強化や相続人への通知方法など、遺言の確実性を担保するための保管方法の検討が進んでいる段階です。
6.まとめ
将来の遺言作成とデジタル化への期待
遺言書の作成方法は、時代とともに変わりつつあります。デジタル化の進展により、従来よりも手軽で確実に自身の意思を残せる未来が期待される一方、現在はまだ法律上の課題もあり検討段階です。法改正が進み、より柔軟で便利な選択肢が増えることが期待されます。
しかし、遺言書はご自身の財産をどのように次世代へ引き継ぐかを定める極めて重要な書類です。形式に不備があると無効になる可能性があるため、作成には細心の注意が必要です。また、内容に不備があると、相続人同士の思わぬトラブルに発展するリスクもあります。
そこで、当行政書士事務所では、経験豊富な専門家がご相談に応じ、正確で確実な遺言書作成をサポートいたします。初めての方にも分かりやすく丁寧に説明し、ご希望に沿った遺言作成をお手伝いしますので、安心してご相談ください。
